自動車開発プロジェクト
活動期間/2007-2019
フォーミュラカーから三輪バイクまで理工学部との共同による実車開発
背景
2007年、工学部から芸術学部に、共同でフォーミュラカーを開発し「全日本学生フォーミュラ大会」に参加しないかという申し入れがありました。この大会は社団法人自動車技術会の主催による、学生の自作によるフォーミュラースタイルのレーシングカーの競技会です。当時、芸術学部ではカーデザイナーを目指す学生が多く、① 自動車開発を大学で体験できる、② 工学とデザインが共同で活動するなど、教育的効果が大きいことからプロジェクトを始めました。その後、フォーミュラカー開発から学んだ知識、技術を生かして、エコカーやオリジナルカーの開発にシフトしました。このプロジェクトに参加し、自動車開発の魅力を知った学生の多くは、卒業後、日本の基幹産業である自動車メーカーに就職し、自動車産業の発展に貢献しています。
AUTOMOBILE DEVELOPMENT PROJECT
2007
自動車開発プロジェクト
概要
フォーミュラカーのスタリングをデザインが担当し、企画会議で設計方針を決定後、工学が機構設計や強度解析を、デザインが車の外装となるカウル( c o w l ) をF R P 成形法で製作しました。大会は2007年9月12日から15日の4日間、静岡県の小笠山総合運動公園で開催され、初出場を果たしました。
活動内容と成果
活動当初から企業の製品開発のプロセスを踏襲すること目的に、デザイン部門と技術部門に分かれて、企画-開発・設計-生産の過程を実践しています。カウルの製作は、外部の専門家の指導を受け、学生達が試行錯誤しながらゴールに到達しました。専用のリーフレットを制作するなど、開発した車のPR活動にも力を入れました。
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2008
自動車開発プロジェクト
概要
前年度の経験をもとに、全日本学生フォーミュラ大会の日程(2008年9月10日-13日) を目標に、早い段階からプロジェクトをスタートさせました。開発の進め方や開発技術などは前年から引き継ぎ、デザインメンバーはフォーミュラカーの外観を進化させるために、スタイリッシュをコンセプトに開発に取り組みました。参加する学生も1年生から4年生まで幅広い学年が集結しました。
活動内容と成果
2008年度はカッコよさに拘り、ロングノーズのスマートな外観に、自動車のモデリングに使われるダイノックシートを貼り、地元の企業などから協賛を得て、レーシングカーのようにスポンサーステッカーをカウルには貼り付けています。大会では62の大学・専門学校が参加し、本学は参加
2年目であったが、特別賞のなかの「ベストスタイリング賞」の第2位を受賞しました。
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2009
自動車開発プロジェクト
概要
3年目の開発チームは、過去2年間、取り組んでいない新しい課題に挑戦することから始まりました。それは「カーボンファイバーによる軽量でスタイリッシュなボディデザインの実現」です。さらに機能面ではドライバーの乗降性をよくするために、シート側の外装の高さを低くする改良を試みました。
活動内容と成果
カウル成形にカーボンファイバーを用いる取り組みは、従来のFRP樹脂に比べて硬化時の温度管理など、難題が多かったが学生達の努力で従来のカウルに比べて約3k g ( 全重量の26%相当) の軽量化が図られました。開発した車両は、2009年12月に福岡で開催された「Fukuoka Mo-tor-show2009」に出展し、優秀デザイン賞を受賞しました。
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2011
自動車開発プロジェクト
概要
フォーミュラカー開発の4年目にあたります。この年はこれまで蓄積してきたボディデザインとカウル製作のノウハウを、一度、総括する目的でフォーミュラカー開発と並行して、FRP成形によるカウル製作法のマニュアル化に取り組んでいます。FRP成形では、量産化を目標にカウルの両サイドダクトおよびエンジンカバーを含む3つのパーツを一つの型から成形することで、生産性や製造コスト、製作時間の短縮化に挑戦しています。
活動内容と成果
2011年度の活動成果は、芸術学部と工学部の連携によるフォーミュラカー開発のプロセスや方法、製作技術などを総括し、製作技術マニュアルを作成したことです。これによりカウル製作の技術は、後輩達に受け継がれていくことになります。開発した車両は、2012年12月に福岡市で開催された福岡モーターショーに出展し、「デザイン賞」を受賞するなど、社会的にも評価されました。
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2013
自動車開発プロジェクト
概要
フォーミュラカー開発と並行して、工学部ではバイクのエンジンを利用した3輪自動車の研究・開発が進められていました。2013年度、芸術学部と工学部の連携チームは、3輪自動車を将来のパーソナルモビリティに展開することを開発目標に設定し、フレーム構造を基本としたスタイリングの向上、ドライバーの安全性、居住性、操作性への配慮を優先課題に共同開発を行いました。
活動内容と成果
開発したパーソナルモビリティは前2輪、後1輪の一人乗りで、エンジンは座席後部に設置されています。フォーミュラカーとは異なり、車体を覆うカウルは無く、フレームがむき出しの構造です。そのためフレーム構造のデザインが重要であり、デザインが提案したフレーム構造を工学部が強度や製作条件面から検討しました。最終的に完成した車は、ドライバーの安全上、必要な部分に皮革素材のカバーを取り付けています。完成車両は、2014年1月に福岡市で開催された福岡モーターショー2014の九州学生製作車両展に出展し、オリジナルカー部門でデザイン賞を受賞しています。
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2015
自動車開発プロジェクト
概要
2013年度に開発したパーソナルモビリティは、フレーム構造がむき出しの無骨なデザインでした。2015年度は、フォーミュラカー開発で蓄積したカウル製作のFRP加工技術を活用したいというプロジェクト参加学生の強い希望を受けて、FRPで車体を覆い観光地等で観光客の移動や案内に活用するモビリティ開発を目標としました。
活動内容と成果
フルカウルのパーソナルモビリティは、スタイリング優先で開発を行い、工学部がスタイリングに合わせて機構設計を行ないました。製作上の制約はあったものの、運転者や同乗者の居住性を考慮し、モニターやスマートフォン、ドリンクの設置場所を確保し、車両後部に旅行バッグ等を積みこめるラゲッジスペースを設けています。完成した車両は、天神イムズで開催された九産大プロデュース展に出展し、多くの来場者に観てもらうことができました。
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2017
自動車開発プロジェクト
概要
ライト・ウェイト・ビークルとは、環境負荷を減らすためにアルミ部材など新しい生産技術を導入して車両重量を大幅に軽減した車両のことを指します。開発ではパーソナルモビリティと同様、車両を構成するフレームのデザインから取り掛かり、エクステリアは風にたなびく帆船のように、カウルに伸縮性のある布地を用いて優美さと海上を疾走するワイルドな雰囲気を追求しています。
活動内容と成果
開発当初から、目標を2017年12月に福岡市で開催される福岡モーターショーの出展に置き、同年11月に車体を完成させるスケジュールで進め、実際に展示会場に展示した際は、外装に布地を使った車として注目を集めました。
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2019
自動車開発プロジェクト
概要
2017年度のライト・ウェイト・ビークルの後継車両です。2017年度が外装に伸縮性のある布地を使ったのに対して、開発コンセプトを「薫風」( 初夏の若葉や青葉の香りを含んだ穏やかな風) とし、木質材料とインダストリアルクレイの組み合わせで風を感じるスタイリングを追求しています。
活動内容と成果
開発した車両は、木質のシャープなラインとインダストリアルクレイ成形の柔らかい曲面のコントラスト、丸目のヘッドライトがキュートな雰囲気を演出しています。開発した車両は、天神イムズで開催した九産大プロデュース展で展示し、来場者の中でも女性や子供に人気がありました。